マネジメントとは?

研究紹介
担当講義
経歴
所属学会
研究業績
連絡先
リンク
私の考えるマネジメントとは?

研究紹介

実験的/統計的/解釈的な社会調査の手法を駆使して、持続可能な社会や地域のための研究をしています。

研究の全体像

 地球レベルから地域レベルまでの様々な空間的スケールにおいて、広い意味での持続可能な社会のデザインに貢献するために、様々な社会科学アプローチを統合しながら、研究を進めています。マクロなレベルにおいては、西條辰義教授が近年提唱した仮想将来世代という概念を核とする、フューチャーデザイン研究を行っています。また、ミクロなレベルでは、少子高齢化が進む高知県をフィールドとした地域問題の分析を行っています、高知県には様々な地域問題が他地域に先駆けて顕在化しており、その解決に資する基礎的な知見は、大きな汎用性を持つものになり得ます。そこで、「地域」「高齢」というキーワードに関係する様々な現象を対象として、分野横断的な視点から研究を行っています。研究アプローチとしては、一般社会人被験者をお招きしての実験や、心理学的な尺度を用いた質問紙調査と統計解析や、問題の当事者の一人ひとりの「語り」に耳を傾け、解釈をする質的な手法を組み合わせています。
 主な研究テーマの例を以下に示します。

1.フューチャーデザイン研究

フューチャーデザインとは、現代に生きる私たちが想像力を駆使して未だ生まれていない将来世代の立場に立ち(すなわち仮想将来世代になり)社会をデザインしていくことに関する学術研究もしくはそのデザインの実践のことです。中川は、森林政策や財政政策の専門家と協力しつつ、これらの政策分野の題材を用いながら、@人々がどのようにすれば効率的に仮想将来世代に成りきることができるのか、Aそれによって人々の政策選好がどのように変化するのか、Bそれは持続可能性を高める変化なのか、Cどのような能力や心理特性を持っていることがそのような変化を強めるのか、といった研究課題に取り組んでいます。また、フューチャーデザインに関心を持ってくださる自治体において、ワークショップ体験の機会を提供させて頂いています。  

2.都市と農村の相互作用に関する環境心理学的研究

 人口減少に苦しむ自治体の中は、都市部の人々を積極的に受け入れて人口減少に歯止めをかけようとする動きが活発になっており、そのように移住したいと考える人も増えています。また、都市部と農村部の二か所に居住地を持つ2地域居住というライフスタイルも注目されつつあります。そこで、どのような特徴を持つ人が、そのような行動をとる傾向が強まるのかを明らかにする研究をしています。具体的には、環境心理学でしばしば言及される概念(環境意識、土地への愛着、幼少期の自然体験)をはじめとする概念が、重要な説明変数になっていることを、明らかにしつつあります。  なお、環境心理学においては、人々の日々の生活における環境配慮行動(pro-environmental behavior)を行う意思(intention)と実際の行動とが必ずしも高い相関を示さないのは何故か、またそのギャップをどう埋めることができるのか、という重要な研究テーマがあります。中川は、独自のアプローチから、この問いに答えるための研究も進めています。

3.高齢者などの交通問題に関する研究

 私は理工学系のバックグラウンドを持ち(特に土木工学)、同時に人文社会科学的なアプローチについての多少の知識を持ち合わせています。これらを組み合わせて、高齢者等の交通事故に関連した研究をしています。高齢者の移動の自由確保は、高齢者の生き甲斐の維持のために極めて重要なことです。しかし、高齢の運転者が交通事故を引き起こすリスクは高いのが現状です。そこで、交通安全と移動の自由確保という相矛盾する課題を実現し、将来の地域交通のあり方を考えるための研究を行っています。
 具体的には、第一に、医学の専門家等とチームを組み、交通事故を引き起こしやすい高齢運転者(および、歩行中に事故に遭いやすい高齢者)の特徴を、心理学・医学等の観点から特定する研究を行っています。
 第二に、高齢の運転者が末長く安全に車を運転し、またそれによって認知機能が維持されることを支援する一つの策として、家族等がその車に同乗するというものが考えられています。そこで、同乗者が運転者の事故リスク増大/低減に与える影響に関する心理学的な研究を行っています。
 第三に、やむにやまれず、家族に説得されて運転免許を返納する高齢者の方々の研究をしています。高齢者とその家族が、お互いに納得できる形で意思決定を進めるためには、その高齢者の人生の中で、自動車を運転するということがどのような意味を持ってきたのかを把握することが必要であると、私は考えています。そこで、運転免許を返納した高齢者やその家族に対してインタビュー調査を行い、家族内の意思決定プロセスを調べると同時に、返納した高齢者のライフ・ストーリーを収集しています。高齢者が自分で運転をできることが、その人の精神的な拠り所となっているケースが多いことが分かってきました。  第四に、歩行中に事故に遭った高齢者や、バイク運転中に事故に遭遇した方々を対象として、なぜ事故が発生したのかについて、当事者の主観的な因果関係の認識を明らかにするための聞き取り調査に基づく研究をしています。交通工学や交通心理学においては、事故が発生する確率を、気象条件や道路形状などに基づいて算出する数理的研究が盛んですが、そのような研究が見落としがちな側面から、事故現象を理解し、対策に結びつけることを目指しています。

4.世帯による地震対策行動の実施を規定する要因に関する研究

 世帯が来るべき地震に備えて対策行動を講じておくことは、地域の防災にとって重要なことです。中でも、最も重要な対策である木造家屋の耐震補強に着目した研究を行っています。住まいの耐震補強はリフォームとセットで行われることが多いことからも分かるように、耐震補強は家主や家族にとっては人生の大きな出来事の一つです。そこで、耐震補強を実施した世帯(定年を過ぎた世代が大半です)に対してインタビュー調査を実施し、家族内での耐震補強実施に至るまでの意思決定プロセスを明らかにすると同時に、家主や家族のライフ・ヒストリー/ライフ・ストーリーを合わせて収集し、人生全体の中で耐震補強というものがもつ意味についても分析しています。
 さらに、耐震補強を含む地震対策行動の実施を規定する要因の特定に関する定量的な社会調査も実施しています。家主のもつ職業的アイデンティティや科学技術リテラシーといった要因が重要であるという仮説が上記の定性的調査から分かってきたため、それを検証するための定量的調査を行っています。

5.家族介護者の負担感に関する研究

 在宅で高齢者を介護する人たちの介護負担感は、介護する人・される人の生活の質に大きく影響します。介護保険サービス利用がその負担感のうち、どの成分を軽減することに繋がっているか等を統計分析で解析しています。老年学(Gerontorogy)で蓄積されてきた研究の流れを汲んで研究しています。

担当講義

統計学1(1年)

講義の冒頭で、統計的社会調査を行った学術論文をお渡しし、一連の講義が終了したときには、その内容を全て自分の言葉で説明できるようになっていることを目指した講義を行います。この入門的講義のみによって、自由自在に統計分析ができるようになることは不可能ですが、統計学を何故学ばないといけないのかを理解してもらうこと、最低限の基本的概念を理解してもらうことを重視しています。本講義で扱う概念や学習項目としては、分散と標準偏差、心理尺度の信頼性と妥当性、クロンバックのα係数、相関係数、検定、重回帰分析などがあります。中でも、重回帰分析の手順を理解するとともに、「観察データから得られた推定値(回帰係数)自体を確率変数と見なす」という統計学特有の考え方を理解することを、最終ゴールに据えています。

インタビュー調査とデータ解釈(2年)

社会の中で生じている問題を学術的に理解しようとするとき、問題の当事者に聞き取り調査を行い、そこで「語り」を得て、それを解釈することは、有力な方法です。そして、そのような方法として、様々なものが提案されています。グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)は、おそらく最も有名な手法です。そのような手法を概観したのち、ナラティヴ分析と呼ばれる考え方を紹介します。人はどのような時に、何かを「分かった」と感じるのでしょうか。自然科学者のように、因果関係が特定できた時にそう感じることもあるでしょう。その一方で、例えば読んでいる小説や観ている映画がエンディングに差し掛かって、何かが「腑に落ちた」と思える感覚が訪れたときに、「分かった」と感じることも多いのではないでしょうか。もし人間とは、それと似たような形で自分の過去の経験を理解しながら今を生きようとする動物だとすれば、調査対象者にインタビューを行うということは、その人たちに「物語」を語ってもらうことだという考えが成り立ち得ます。あるいは、調査対象者が調査者の協力を得て、「物語」に含むべき場面を一緒に探索していくことだという考えすら成り立つかもしれません。中川が実際の調査で得た語りを題材としながら、調査対象者の語りを「物語」として捉える視点を獲得することを、本講義の目的とします。物語論(Narratology)の分野に、「物語はどう定義できるか?」という難問があります。これに対して、医療社会学者のArthur Frankは「子供が、眠る前にベッドの中で聞きたいと思うものが物語だ」という絶妙な、しかしややずるい答えを出しました。この問いに対して、あなたなりの答えを見いだせたとすれば、講義の目的が達成されたことになります。

セミナー(1・2年)

15名程度の少人数で行う形式の授業です。世界中のビジネススクールで広く普及している「ケースメソッド」という教育方法を用い、学生の関心に合致した既存の教材を用いて、グループ討議を重ねていきます。これらの教材は、過去に企業や社会で起こった実際の問題を、当事者の視点からコンパクトに解説した冊子の形式をとっています。学生たちは、その事例の当事者に感情移入しながら、自分たちがそのような問題状況に直面したならばどのように対応するかという視点から、討議を進めます。

経歴

1977年1月 横浜市生まれ
2000年3月 東京大学工学部 土木工学科 卒業
2002年3月 同大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻 修士課程 終了
2005年3月 同専攻 博士課程 終了
2005年4月 同専攻 助手
2007年4月 高知工科大学 社会マネジメント研究所 講師
2008年4月 同大学 マネジメント学部 講師
2012年4月 同大学 マネジメント学部 准教授

所属学会

土木学会・日本民俗学会・日本認知症ケア学会

研究業績

【査読付の論文等】

    ■ライフ・ストーリー研究(人生の物語論的研究)/質的研究に関するもの■
  1. Nakagawa, Y.(2017). The lived experience of preparing for earthquakes in households: A phenomenological psychological study. Natural Hazards, 88(3), 1825-1844.
  2. 中川善典,桑名あすか(2017).民芸・民具の作り手のライフ・ストーリー研究 −高知県芸西村の竹の子笠を事例として−.質的心理学研究(掲載決定).
  3. 中川善典,重本愛美(2016).運転免許を返納する高齢者にとっての返納の意味に関する人生史研究,土木学会論文集D3(土木計画学)72(4), 304-323.
  4. 中川善典,山崎祥悟(2015).建設技能労働者の技能獲得と継承に関する「羅生門」的 人生史研究,土木学会論文集F4(建設マネジメント) 71(4), I_169-I_180, 2015 .
  5. ■その他のもの■
  6. Nakagawa, Y., Kotani, K., Matsumonto, M., Saijo, T.(2018). Intergenerational retrospective viewpoints and individual policy preferences for future: A deliberative experiment for forest management. Futures. (Accepted for publication.)
  7. Nakagawa, Y.(2017).Psychological and behavioral predictors of rural in-migration. Rural Sociology, 83(1), 24-50.
  8. Nakagawa, Y.(2015). Effect of critical thinking disposition on household earthquake preparedness. Natural Hazards, 81(2), 807-828.
  9. Nakagawa, Y. and Park, K. (2014). Psychological Effect of Passenger Presence on Drivers and Its Dimensions: Scale Development and Validation. Transportation Research Part F: Traffic Psychology and Behaviour, 25A, 86-97.
  10. Kato, H., Shiroyama, H., and Nakagawa, Y. (2013). Public policy structuring incorporating reciprocal expectation analysis. European Journal of Operational Research, 233(1),171-183.
  11. Nakagawa, Y. and Park, K. (2013). Identification of Elderly Drivers whose Crash Involvement Risks are Alleviated by Passenger Presence. International Journal of Injury Control and Safety Promotion, 21(2), 190-198.
  12. Nakagawa, Y., Yamada, R., and Nasu, S. (2013). Characteristics of care-givers and care recipients influencing the impact of paid care services on family care-giver burdens. Ageing and Society, 34(8), 1314-1334.
  13. Park, K., Nakagawa, Y., Kumagai, Y., and Nagahara, M. (2013). Leukoaraiosis, A Common Brain Magnetic Resonance Imaging Finding, as a Predictor of Traffic Crashes. PLoS ONE, 8(2), e57255.
  14. Nakagawa, Y., Park, K., and Kumagai, Y. (2013). Elderly drivers' everyday behavior as a predictor of crash involvement: Questionnaire responses by drivers' family members, Accident Analysis & Prevention, 50, pp.397-404.
  15. Nakagawa, Y. and Nasu, S. (2011). Association between components of family caregivers' sense of burden and types of paid care services provided in Japan, Aging and Mental Health, Vol. 15(6), 687-701.
  16. Nakagawa, Y., Nasu, S., Saito, T., and Yamaguchi, N. (2010). Analytic hierarchy based policy design method (AHPo) for solving societal problems that require a multifaceted approach, European Journal of Operational Research, Vol.207(3), pp.1545-1553.
  17. Nakagawa, Y., Shiroyama, H., Kuroda, K., and Suzuki, T. (2010). Assessment of social implications of nanotechnologies in Japan: Application of problem structuring method based on interview surveys and cognitive maps, Technological Forecasting and Social Change, Vol.77(4), pp.615-638.
  18. 中川善典,和田直人 (2015).自治体間の比較に基づく木造住宅耐震改修促進施策の効果に関する分析,『社会技術研究論文集』,Vol.12,71-84, in press.
  19. 加藤浩徳,志摩憲寿,中川善典,中西航 (2012).地域交通システムの成立と発展:高知県を事例に,『社会技術研究論文集』,Vol.9, in press.
  20. 中川善典, 森田絵里, 斉藤大樹, 山口修由, 那須清吾(2010). 木造家屋の耐震補強実施に関する判断要因の構造化とそれに基づく施策インパクトの定量的評価手法の提案, 『社会技術研究論文集』,Vol.7, pp.232-246.
  21. 【研究ノート】植本琴美, 中川善典, 那須清吾 (2010). 行政経営システムの必要性,『計画行政』Vol.33(4), pp. 62-67.
  22. 中川善典, 城山英明, 黒田光太郎, 鈴木達治郎(2008). ナノテクノロジーの社会的影響評価:インタビューと認知マップを用いた問題構造化手法による分析,『科学技術社会論研究』,第6号.
  23. 刈谷剛, 中川善典, 那須清吾 (2008). 政策・施策の立案に関する方法論と行政経営システムの構築, 『社会技術論文集』, Vol.4, pp.68-77.
  24. 中川善典 (2006). ナノテクノロジーの社会的影響に関する問題の構造化, 『社会技術論文集』, Vol.4, pp.75-83.
  25. 加藤浩徳, 城山英明, 中川善典 (2006). 関係主体間の相互関係に着目した広域交通計画におけるシナリオ分析手法の提案,,社会技術論文集,Vol.4,pp.94-106.
  26. 加藤浩徳, 城山英明, 中川善典 (2005). 広域交通政策における問題把握と課題抽出手法−関東圏交通政策を事例とした分析−,,社会技術論文集,Vol.3,pp.214-230.
  27. 中川善典(2003). 異なる場面での類似発言に注目した発話者の信念抽出と話題の推定,単著, 社会技術論文集,Vol.1,pp.38-47.
  28. 中川善典,川端航,井上純哉 (2002). 断層周辺の密度欠損を考慮した断層破壊と停止の動的解析,応用力学論文集, Vol.5, pp.581-590. (2002)

【口頭発表/査読付きプロシーディング】

  1. 朴啓彰,中川善典,永原三博 (2012).高齢ドライバ支援ITS に繋がる同乗者効果,Peer-Review-Proceedings, 第11回 ITSシンポジウム, 2012年12月13-14日.
ほか約10件。

【ポスター発表】

準備中

【外部資金に関する状況】


【科学研究費補助金】

1.研究課題:擬人観によって運転者の注意力維持を促す自動音声ガイダンスの設計手法の開発
研究種目:萌芽研究
研究分野:土木計画学・交通工学
研究期間:2015〜2016年度
備考 :中川は研究代表者。

2.研究課題:疫学手法に基づいた交通事故に遭うリスクの高い高齢歩行者の特定
研究種目:若手研究(B)
研究分野:土木計画学・交通工学
研究期間:2013〜2014年度
備考 :中川は研究代表者。

3.研究課題:東洋町・ヴェレンベルグにおける放射性廃棄物処分地決定プロセスの政治過程分析
研究種目:基盤研究(B)
研究分野:原子力学
研究期間:2009〜2011年度
備考 :中川は研究分担者として参画。代表者は堀井秀之 東京大学大学院工学系研究科教授。

4.研究課題:連携ガバナンスにおける社会的合意形成と連携マネジメント
研究種目:基盤研究(B)
研究分野:政治学
研究期間:2006〜2008年度
備考 :中川は研究分担者として参画。代表者は城山英明 東京大学法学部教授。

【その他の助成金】

5. 研究課題:脳特性と歩行能力計測による高齢歩行者の交通事故リスク要因の特定と個人対応型事故対策
財団名:タカタ財団
研究期間:2015年度
備考 :中川は研究代表者。

6. 研究課題:科学技術リテラシーの有無が地震対策行動に与える影響に関する研究
財団名:新技術振興渡辺記念会
研究期間:2014年度
備考 :中川は研究代表者。

7. 研究課題:既存不適格の木造住宅家主が耐震補強工事に踏み切る心理メカニズムの解明:「耐震化をやる気」と「実際の行動」とのギャップを埋めるにはどうすればよいか
財団名:鹿島学術振興財団
研究期間:2013年度
備考 :中川は研究代表者。

連絡先

電話(直通) 088−821−7149 (内線1621)
電子メール 
居室 A621

リンク

準備中

私の考えるマネジメントとは?

準備中